2005年11月11日(金)
ミネアポリス探訪シリーズの第2回目、今日ご紹介するのはThe Bakken Library and Museumです。Bakkenは世界的にみて非常に珍しい、いわゆる「知る人ぞ知る」博物館なのですが、言い方を変えると関心のない方には全く縁がないとも言えます。なので、Bakkenをミネアポリス探訪シリーズで取りあげてよいものかどうか少々悩みましたが、ミネアポリスが世界に誇れる「名所」として紹介することにします。 The Bakken Library and Museumは、電気の歴史に関する博物館で、主に医療や人間科学分野に応用された電気技術を得意分野としています。もともとはミネアポリス出身で、ペースメーカの改良・販売で財を成したEarl Bakken氏が個人的に収集していた資料や文献、器具類などを自分の会社(Medtronic社)で展示していたのが始まりですが、1981年にそのコレクションを元に博物館が設立されました。それが現在のBakken Library and Museumです。 写真からも分かるように、Bakkenの建物は以前は個人の邸宅だったそうです。1928年建築で、Lake Calhounというとても美しい湖のほとりに建っています。この付近はミネアポリスで一、二を争う高級住宅街としても有名です。 Bakkenは主に、電気器具を用いた実験などを一般向けに展示する博物館部分と、文献資料を保存・閲覧する図書館部分に分かれています。博物館の入館料は大人7ドル、学生・生徒・老人5ドル(4歳以下は無料)です。電気技術の発展の歴史を彩ってきた様々な電気実験を実体験しながら、電気技術の発展過程が学べるようになってます。私も静電気を起こして、髪の毛を逆立てる実験などに挑戦したことがあります。子供の頃、理科の実験となると妙に張り切ったという人にはかなりお勧めできます。博物館には平日でもクラス単位で見学に来る子供たちが多く、いつも館内は笑い声や驚きの声が絶えません。博物館の詳細については、www.thebakken.orgをご覧ください。 もう一方の図書館は、実は私の第2の所属先でもあります。私はここでもvisiting scholarのポジションを得て、研究をしています。電気治療の歴史を研究している私にとってここの図書館は、まさに宝の山です。次々と面白い資料が、それこそわんさか溢れてきます。あまりにありすぎて自分の手には負えないのではないかと焦ってしまうほどです。 写真は図書館閲覧室の内部です。もともとが個人宅だったということもあって、図書館らしからぬ雰囲気だと思いませんか。完全予約制でいつもあまり利用者がいないおかげで、落ち着いて自分の研究に没頭できます(しかも日本人利用者は本当に少ないらしく、珍しがられています)。この写真では見えにくいかもしれませんが、ちょっと一息入れたい時は、窓の向こうにLake Calhounを眺めることもできます。 博物館としても図書館としてもおもしろさ満載で、電気技術史研究者にとっては一つの「聖地」であるBakkenですが、ミネアポリス市民での認知度はいま一つのようです。これだけの規模の博物館を公共団体などではなく、全くのprivateで運営するのは大変なことだと思います。私たちの「聖地」を守るためにも、ミネアポリスを訪れた際はぜひBakkenまで足を運んでください。
by itoaki
| 2005-11-12 15:25
| Minneapolis編
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