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論文の書き方

2006年7月27日(木)

今回の論文の締め切りが、今月末。私の魂胆としては、今週末の日曜日30日までに論文を書き上げ、その後31日に友人に英語のチェックを入れてもらい、再度自分で読み直してから即メールで送信!ぎりぎりセーフ!の心積もりでいました。それが、今日いつも英語チェックをお願いしている友人から、「今週土曜日からオレゴン州にいる姉を訪ねることになった。チェックする論文、土曜の朝までに渡してもらえる?」と言われてしまったのです!この土壇場に来て日曜日→金曜日に予定変更です!たかが2日と思われるかもしれませんが、締め切り前の2日間は時間の価値が普段と全然違うのです。今更面倒な英語チェックをしてくれる人を見つける時間もないし…。あー、締め切りまで眠れそうにないな、また(涙)。

こうして締め切り直前にひーひー言っている時にいつも思い出すのが、私がまだ博士課程に入りたての頃、日○研のK村先生からお聞きした「論文の書き方」というお話です。K村先生はコロンビア大学で博士号を取られた、東欧を中心とした国際政治のエキスパート。私とは研究分野は違いますが、「優秀な研究者から論文を書くコツが教えてもらえるなんて!」と、当時博士論文を書くことに漠然とした不安を抱いていた私は、ノートを取るべくペンを握り締めてK村先生のお話に集中しました。

K村式論文の書き方は、まず論文を完成させるまでの期間を設定することから始まります。博士論文の場合、ある程度幅はありますが3年なり4年なりと設定します(5年、6年もありえるけど…目標はある程度高く設定しましょう)。期間が決まったらそれをきっちり4等分します。3年だったら9ヶ月ずつ、4年だったら1年ずつの計算です。そして…

第1期:参考文献、資料を読む。
できるだけ幅広くとにかく漁りまくって、ちょっと関係ないかなと思えるようなものにも目を通す。

第2期:論文を書く。
一日1行ずつでもいいから毎日書き続けることが肝心。

第3期:論文を寝かす。
この際、旅に出ることが最もふさわしい。

第4期:論文を読み返す。
誤字脱字から、論の不足している箇所などを加筆・訂正する。

論文完成

「読む→書く→寝かす→読み返す」という非常にシンプルな過程で、思わず「そんなこと、言われなくても分かってるっちゅーの!」とツッコミをいれたくなるかもしれません、いやいやこのK村式、非常に真をついているのです。

K村式の極意は第3期にあります。この第3期、自分の書いた論文から一度離れてみることで、自分が「客観的な一読者」になるために重要な時間なのです。客観的な読者になれれば、自分の文章の持つリズムの悪さや論理展開のほころびなど、書いてるときには見えてこなかった様々な欠点が見えてきます。さらに、論文からしばし解放されることで、頭がリフレッシュできて新たなアイディアが生まれることもあります(次の研究のネタと出会うことも十分ありえます)。K村先生によると、自分が何を書いたか忘れてしまうほど離れることが大事なんだそうです(「軽井沢辺りに避暑に出かけると良いでしょう」とスノッブなことをおっしゃてたっけ・笑)。実際には博士論文を書いている大学院生が、9ヶ月なり1年なり自分の研究から離れることは不可能なのですが、それでも2週間なり、それが無理なら1週間でも論文を「寝かせる」ことが、良い論文を書くために不可欠なのです。

もちろんこのK村式、博士論文にだけではなくどんな論文にも適用可能です。と、言いつつ…なのになのに、今の私の状態ときたら…全くK村式に則っていません(涙)。こんなんじゃ、いい論文になるわけもなく…。毎回論文を締め切りぎりぎりに書き上げては「次回こそは論文を寝かすぞ!」という決意を繰り返しているだけなのでした…(悲)。K村先生、ごめんなさい。
by itoaki | 2006-07-28 02:14 | Minneapolis編
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